北海道にアトリエを作る計画。自らの理想にあった形

ねこの家は、あとりの夢の中で作られた架空の建物でした。

まだ理想と空想の間にあった頃、以前ブログでお話ししましたアトリ・アートスペースの前進とも言える計画が動き出そうとしていました。
作家あとりが思い描いていた「夢」とは?
アトリエ建築にあたり、あとりは様々な土地をめぐりました。
海の見える丘の上をはじめ、白樺林の静かな落ち着いた雰囲気の場所であったり、以前にあとりと同じように絵を描いていた芸術家の建築物など、アトリエとしての最高の立地の備えた居場所を求め、作家は奔走しました。
なかなか、理想にあった地を探すのは難しいものでした。
なぜなら、このとき、あとりの中では「海の見える丘」でそれまで理想と思っていた夢の情景が崩れ去っていたからです。
作家は、一人悩みました。
 
自らが本当に求める場所とは何か?
 
このまま工房を作るために探求を続けたほうがいいのだろうか?
 
アトリエを持つことの意味とは?
作家の頭の中には、様々な疑問が目まぐるしく問いかけてきました。
心を鎮め、その一つ一つの問いに丁寧に答えを見つけ出していくうち、なぜ? 森の中にアトリエを建築する必要があるのだろうかという一つの答えを導き出しました。
それは、例えるなら「時間」でした。
街での生活は便利です。
太陽が昇り、日が沈む、そして星が空を照らし、そしてまた朝日が昇る。
街での生活は、自然でありながら、自然ではないことに気が付きした。
森と海と自然とかかわるうち、あとりの時間は人工的に決められた枠組みではなく、自然の中で流れにそって生きることが本来の自らの姿に感じたのです。
自然の中でありながら、森と人との共存が可能ではないだろうか?
それはまさに、あとりが子供のころに感じた気持ちをありのまま受け止めた結果でもありました。
何者にも縛られず、何者にも臆することなく、自分という道を進むこと・・・・
この時からでした。
あとりの中で、アトリエに対する思いが変わりました。

作業場としてのアトリエ建築ではなく、一つの最高の芸術作品を森の中に建てよう・・・・

あとりは「工房」という言葉によって、自らを縛っていたのかもしれません。
現実的な見方から非現実的、空想的な考えに変わっていきました。
作家風杜あとりは、自らの理想にあった形を遠くに見ることができるようになりました。
それが「アトリ・アートスペース」の始まりです。
『第五話』
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