作り始めた「希望」 ねこの家ができる最初の日

ねこの家の最初の物語です。


場所はこちらです。
 ねこの家は、北海道石狩市にある厚田という農村と漁村の二つのエリアを持っている特殊な環境に位置しています。
海と山に恵まれた自然豊かな土地です。
札幌からバスで50分の距離にありながら、厚田という地は、時が止まったように穏やかな時間が流れています。
ねこの家のある場所は、厚田区聚富にあります。
聚富とは、アイヌ語でしゅっぷ、しょぷと言い、箱を意味しています。
「地名アイヌ語小辞典」によると「両岸が絶壁で川底が岩の箱の形になって青く水をたたえている所」となっています。
それは多分ですが、ねこの家の横を流れる知津狩川に由来しているものではないでしょうか。
知津狩川は、シラツカリ川と呼び見ます。
読めないですよね。この字は
北海道にはアイヌ語からの当て字が多くあり、地元の人以外は読めないのも当然です。
シラツカリ川は、山の上流の方から海へと流れている川で、アイヌ語では「シララ・トゥカリ」と言い、岩の手前を意味しています。
それは、山と海の間にあって、砂地から山場へと移行する中間を意味しているのです。
川の水と海水とが切り替わる「節」の場所と言えます。
ねこの家は、山と海の中間にあります。
そのせいか、海風ほど強くなく、山間ほど険しくはない、穏やかな季節環境にあります。
作家あとりもまた、「自然の中にありながら、穏やかな気候を持っている」この場所がとても気に入ったようです。
アトリエの建築構想の前、あとりはこのねこの家の建つ丘の上で何時間も景色を眺めていたといっています。
ただただ穏やかに流れる時間の中で、朝日とともに空を見上げ、夕日とともに一日を過ごす。
あとりは何もない丘の上で、アトリエの構想をまとめていきます。

厚田の夕日

『第九話』

 

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