アルフォンス・ミュシャが国立美術館でスラブ叙事詩を語る

アルフォンス・マリア・ミュシャ(Alfons Maria Mucha,
1860年から1939年に一斉を風靡した、アール・ヌーヴォーを代表するグラフィックデザイナーです。


銅版画家であり、ポスターを中心に手がけた作家です。

今回、北海道から東京を訪れた目的の一つは、ミュシャ展にあります。
チェコを代表する画家ミュシャの最大で最後の作品が遥か海を渡り、日本にやってくるとあってはいてもたってもいられずに、東京にやってきました。

国立美術館での展示では、ミュシャが晩年に力を注いだ巨大な作品が展示されています。

メイン作品のテーマは、スラブの伝承です。
ミュシャは、スラブ民族に憧れを抱いていたのかもしれません。
スラブ民族とは、スラブ語を話すヨーロッパ系、インド系の人たちの総称です。

これは、私の推測ですが。


ミュシャがスラブ民族を知るために、10日間の旅に出ました。スラブの歴史や神話の残る地を訪れ、スラブの伝承とも言える記憶の断片を集めたのです。
永い歴史の中で埋もれてしまったスラブの思いを、アルフォンス・ミュシャは集めたかったのだと思います。
それこそが、ミュシャにとっての生きている証だったのでしょう。

そして。
集められたスラブの思いの欠片たちは、ミュシャの手によって、スラブ叙事詩として蘇ったのです。

歴史の中で、スラブ民族は確かに生きていた、その証としてのミュシャの作品が、今回、国立美術館で展示されています、スラブ叙事詩なのです。

日本初公開にして、世界初公開のミュシャの作品展です。

スラブ叙事詩は、全20作によって、展開されています。
先にも述べましたが、スラブ叙事詩はミュシャによって集められたスラブの伝承、歴史、神話なので、作品にナンバーがふられていますが、その限りではありません。
ミュシャが感じたままに描かれているため、連作とはいえ、ひと作品ごとにテーマが与えられています。

国立美術館 ミュシャ展に展示されている20のスラブ叙事詩は、物語になっているのではなく、ひと作品ごとに物語が与えられているのです。

国立美術館 ミュシャ展での作品は、スラブ叙事詩をはじめ、6年間に渡り携わったポスター作品集、そして、スラブ民族についての思いが描かれた作品や下絵が展示されていました。

みんなの知らないミュシャの世界を感じられる展示会なのではないでしょうか。

ミュシャ展を鑑賞する際は、音声ガイドは必須です。
アルフォンス・ミュシャが感じた、スラブ民族の叙事詩を体感してみてください。

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